平成27年05月26日
繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(案)
現在、主に日本公認会計士協会監査委員会報告第66号「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」において定められている繰延税金資産の回収可能性に関する指針について見直した上で、企業会計基準委員会に引き継ぐこととして審議を重ね、公開草案として公表したもの。平成27年7月27日(月)まで意見募集。
・企業の分類に応じた繰延税金資産の回収可能性に関する取扱い
監査委員会報告第66号における企業の分類に応じた取扱いを撤廃する場合には実務への影響が大きいと考えられることから、本公開草案では当該取扱いの枠組み、すなわち企業を5つに分類し、当該分類に応じて繰延税金資産の計上額を見積る枠組みを
基本的に踏襲した上で、当該取扱いの一部について必要な見直しを行うことを提案している。
・(分類1)から(分類5)に係る分類の要件をいずれも満たさない企業の取扱い
5つの分類の要件をいずれも満たさない企業は、過去の課税所得又は税務上の欠損金の推移、当期の課税所得又は税務上の欠損金の見込み、将来の一時差異等加減算前課税所得の見込み等を総合的に勘案し、各分類の要件からの乖離度合いが最も小さいと判断されるものに分類することを提案している。
・(分類2)及び(分類3)に係る分類の要件
監査委員会報告第66号では、(分類2)及び(分類3)について、「経常的な利益(損益)」という会計上の利益に基づく要件としていたのに対し、本公開草案では、「臨時的な原因により生じたものを除いた課税所得」に基づく要件に変更することを提案している。
・(分類2)に該当する企業におけるスケジューリング不能な将来減算一時差異に関する取扱い
本公開草案では、(分類2)に該当する企業においては、原則として、スケジューリング不能な将来減算一時差異に係る繰延税金資産について、回収可能性がないものとしつつ、スケジューリング不能な将来減算一時差異のうち、税務上の損金算入時期が個別に特定できないが将来のいずれかの時点で損金算入される可能性が高いと見込まれるものについて、当該将来のいずれかの時点で回収できることを合理的に説明できる場合、当該スケジューリング不能な将来減算一時差異に係る繰延税金資産は回収可能性があるものとすることを提案している。
・(分類3)に該当する企業における将来の一時差異等加減算前課税所得の合理的な見積可能期間に関する取扱い
(分類3)に該当する企業において、監査委員会報告第66号では、「将来の合理的な見積可能期間(おおむね5年)内の課税所得の見積額を限度」として繰延税金資産に回収可能性があるものとしていたが、本公開草案では、臨時的な原因により生じたものを除いた課税所得が大きく増減している原因、中長期計画、過去における中長期計画の達成状況、過去(3年)及び当期の課税所得の推移等を勘案して、5年を超える見積可能期間においてスケジューリングされた一時差異等に係る繰延税金資産が回収可能であることを合理的に説明できる場合、当該繰延税金資産は回収可能性があるものとすることを提案している。
企業会計基準適用指針公開草案第54号
管轄:企業会計基準委員会
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