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平成28年01月06日

平成26年12月19日付課法2-12ほか1課共同「法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明

1減価償却資産の範囲【改正】7-1-1(美術品等についての減価償却資産の判定)
改正前の本通達では、時の経過により価値の減少しない(減価償却資産に該当しない)ものかどうかに関し、2つの執行上の基準を設け、これに合致するものは、原則として、書画骨とうとして減価償却資産に該当しない旨を明らかにしていた。
(1)古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないもの
(2)美術関係の年鑑等に登載されている作者の制作に係る書画、彫刻、工芸品等
上記(2)の基準や美術品等の取得価額基準(1点20万円(絵画にあっては、号2万円)未満であれば減価償却資産として取扱うことができる)は昭和55年の制定以後30年余りを経過し、美術品等の多様化や経済状況の変化等により、これらの基準によって美術品等が減価償却資産に該当するかどうかを区分した場合には、減価償却をすることができない美術品等の範囲がその取引実態等と乖離するケースが見受けられることとなった。
そこで、上記(2)の基準を廃止するとともに、取得価額基準については、美術品等の種類に関係なく共通的に1点100万円未満とすることとした。100万円とした理由は、新鋭作家のデビュー作が1点60万円から80万円で取引される実態にあることや、市場における一定の評価を得ることができる作者かどうかは一般にその作品の価格が100万円を超えるかどうかで評価することができるといった専門家の意見等を踏まえたものである。また、絵画については、改正前の取扱いにおいて、その大きさが10号の作品が一般的であるとの理由から号当たり2万円以上かどうかで取得価額基準の判断をすることとしていたが、作品の価格は必ずしもその大きさのみに比例するとは言い切れないことから、他の美術品等と同様の基準によることとした。
なお、取得価額が1点100万円以上のものであっても「時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの」については、この取得価額基準によることなく減価償却資産として取り扱うこととし、その例示を本通達の注書1に掲げている。
2経過的取扱い【新設】(経過的取扱い…改正通達の適用時期)
今回の通達改正により、例えば、100号150万円の絵画のように改正前の取扱いでは減価償却資産となる余地があったものが、改正後の取扱いでは通常は非減価償却資産に該当し、減価償却費として損金算入ができなくなるなど、法人にとって有利な取扱いといえない点も含まれている。そのため、改正後の取扱いは、原則として、平成27年1月1日以後に取得をした美術品等について適用することとし、過去に遡って資産区分の変更を行うことはしないこととしている。
また、1点当たりの取得価額基準を20万円から100万円へ引き上げたことにより、資産の性質が大きく異なっていないにもかかわらず、美術品等の取得日(平成27年1月1日の前か後か)の違いによって美術品等の取得価額の費用化の取扱いが大きく異なるのは法人税の取扱いとしてバランスを欠くことになる。そこで、平成27年1月1日前に取得をした美術品等のうち、改正後の取扱いによれば減価償却資産とされるものについては、法人の選択により、非減価償却資産から減価償却資産への変更(資産区分の変更)が認められることを明らかにしている。
管轄:国税庁

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