平成31年03月27日
所得税法等の一部を改正する法律(移転価格税制)
国外関連者との取引に係る課税の特例(いわゆる「移転価格税制」)について、「BEPSプロジェクト」の勧告により改訂されたOECD移転価格ガイドライン等を踏まえ、次の見直しを行う。
(1)移転価格税制の対象となる無形資産の明確化
移転価格税制の対象となる無形資産は、法人が有する資産のうち、有形資産及び金融資産(現金、預貯金、有価証券等)以外の資産で、独立の事業者の間で通常の取引の条件に従って譲渡・貸付け等が行われるとした場合に対価の支払が行われるべきものとする。
(2)独立企業間価格の算定方法の整備
独立企業間価格の算定方法として、OECD移転価格ガイドラインにおいて比較対象取引が特定できない無形資産取引等に対する価格算定方法として有用性が認められているディスカウント・キャッシュ・フロー法(DCF法)を加える。
これに伴い、独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類の提出等がない場合の推定課税における価格算定方法に、国税当局の当該職員が国外関連取引の時に知り得る状態にあった情報を基にしてDCF法により算定した金額を独立企業間価格とする方法を加える。
(3)評価困難な無形資産に係る取引(特定無形資産取引)に係る価格調整措置の導入
特定無形資産に係る取引に係る独立企業間価格の算定の基礎となる予測と結果が相違した場合には、税務署長は、当該特定無形資産取引に係る結果及びその相違の原因となった事由の発生の可能性を勘案して、当該特定無形資産取引に係る最適な価格算定方法により算定した金額を独立企業間価格とみなして更正等をすることができることとする。ただし、上記により算定した金額と当初取引価格との相違が20%を超えていない場合は、この限りでない。
上記の「特定無形資産」とは、次に掲げる要件の全てを満たす無形資産をいう。
イ独自性があり重要な価値を有するものであること。
ロ予測収益等の額を基礎として独立企業間価格を算定するものであること。
ハ独立企業間価格の算定の基礎となる予測が不確実であると認められるものであること。
(4)移転価格税制に係る更正期間等の延長
移転価格税制に係る法人税の更正期間及び更正の請求期間等を7年(現行:6年)に延長する。
(5)差異調整方法の整備
比較対象取引の利益率を参照する価格算定方法に係る差異調整について、定量的に把握することが困難な差異があるために必要な調整を加えることができない場合には、いわゆる四分位法に基づく方法により差異調整を行うことができることとする。
平成31年法律第6号
管轄:財務省
平成31年4月1日施行
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