令和03年01月28日
規制資産及び規制負債(公開草案)
料金規制は、次のことを定めることによって、企業の収益、利益及びキャッシュ・フローの金額及び時期に著しく影響を与える可能性がある。
(a)企業がある期間において供給した財又はサービスに対して、どれだけの報酬を顧客に請求する権利を与えられるのか(合計許容報酬)。
(b)企業は当該報酬を、請求する規制料金にいつ含めることができるのか。
場合によっては、料金規制を適用する規制上の合意が、ある期間において供給された財又はサービスに対する合計許容報酬の一部を、異なる期間(過去又は将来)において供給される財又はサービスに対する規制料金の決定にあたり含めている場合に、時点差異が発生することがある。
国際会計基準審議会は、企業がIFRS基準の適用によってすでに提供している情報を補完するための会計モデルを提案している。提案しているモデルは、企業は、ある期間において供給した財又はサービスに対する合計許容報酬を、当該期間について報告する財務業績の一部として反映すべきであるという原則に基づいている。この原則を適用するため、企業は財政状態計算書に次のものを認識することになる。
(a)規制資産―すでに供給した財又はサービスに対する合計許容報酬の一部が将来の収益に含められることにより、将来の規制料金の決定にあたり金額を加算するという、強制可能な現在の権利
(b)規制負債―すでに認識した収益が、将来において供給する財又はサービスに対する合計許容報酬の一部を提供する金額を含んでいることにより、将来の規制料金の決定にあたり金額を減算するという、強制可能な現在の義務
その結果、企業は財務業績の計算書において次のものを認識することになる。
(a)規制収益(当期に供給した財又はサービスに対する合計許容報酬のうち、過去の期間の収益に含められたもの又は将来の期間の収益に含まれる部分を描写するため)
(b)規制費用(当期の収益に含めた金額のうち、過去の期間に供給されたか又は将来の期間に供給される財又はサービスに対する合計許容報酬の一部を提供する金額を描写するため)
企業は規制資産及び規制負債を、当該資産及び負債から生じることとなる将来キャッシュ・フローの更新後の見積りを反映して、修正原価ベースで測定することになる。
新しいIFRS基準書として最終確定された場合、当審議会の提案はIFRS第14号「規制繰延勘定」を置き換えることになる。当該基準は、料金規制の影響についての多様な会計アプローチを一時的に継続することを認めた暫定的基準である。