令和03年03月26日
「収益認識に関する会計基準の適用指針」の改正
<概要>
■電気事業連合会及び一般社団法人日本ガス協会からの提起の内容
電気事業及びガス事業において、毎月、月末以外の日に実施する検針による顧客の使用量に基づき収益計上が行われる実務が見られる(いわゆる検針日基準)。会計基準第35項の定めに従えば、決算月の検針日から決算日までに生じた収益を見積ることになるが、これが実務的に困難であるとの理由で、検針日基準を代替的な取扱いとして認めて欲しいとの要望が寄せられた。
■検針日基準による収益認識を認めなかった理由及び見積方法について代替的な取扱いを定めた理由
適用指針第164項においては、これまで我が国で行われてきた実務等に配慮し、財務諸表間の比較可能性を大きく損なわせない範囲で、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」における取扱いとは別に、個別項目に対する重要性の記載等、代替的な取扱いを定めている。
審議の結果、検針日基準による収益認識を認めた場合、財務諸表間の比較可能性を大きく損なわせないとは認められないと判断し、会計基準の定めどおり、決算月に実施した検針の日から決算日までに生じた収益を見積ることが必要であるとの結論に至った。ただし、決算日時点での販売量実績が入手できないことにより、見積りと実績を事後的に照合する形で見積りの合理性を検証することができないなど、見積りの適切性を評価することが困難であるとの意見が財務諸表作成者及び監査人から寄せられたため、見積方法について財務諸表間の比較可能性を大きく損なわせない範囲で代替的な取扱いを定めることとした。
■代替的な取扱い
電気事業及びガス事業における決算月の検針日から決算日までに生じた収益の見積りは、通常、同種の契約をまとめた上で、使用量又は単価(若しくはその両方)を見積って行われるものと考えられる。代替的な取扱いでは、当該使用量及び単価の見積りを、以下のように行うことができることとしている。
<使用量について>
決算月の月初から月末までの送配量を基礎として、気温、曜日等を加味して見積ることが考えられるが、気温、曜日等を加味することは実務的に困難である可能性があるため、その月の日数に対する未検針日数の割合に基づき日数按分により見積ることができることとした。
<単価について>
電気事業及びガス事業では、契約の種類、使用量、時間帯等によって単価が変動する料金体系を採用していることがあり、単価の見積りについては、使用量等に応じて、それらの構成比の変動等を調整することが考えられるが、このような調整を行うことは実務的に困難である可能性があるため、決算月の前年同月の平均単価を基礎とすることができることとした。
改正企業会計基準適用指針第30号
管轄:企業会計基準委員会
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