平成12年07月06日
販売用不動産等の強制評価減の要否の判断に関する監査上の取扱い
<具体的内容>
・販売用不動産等の時価に関する基本的考え方
販売用不動産等に強制評価減を適用する場合の時価としては、正味実現可能価額が妥当とされている。
・時価の著しい下落の判断基準
a.算定された時価が取得価額に比べて、おおむね50%以上下落している場合には、販売用不動産等の時価が著しく下落しているものとして取り扱う。
b.個々の販売用不動産等の時価がおおむね50%以上下落していなくても、全体の含み損額に重要性があり、会社の経営状態の判断を誤らせる事態を招くと認められる場合はa.以外の他の適切な基準を検討する必要がある。
・販売用不動産等の評価の妥当性に関する判断指針
・不動産開発計画の実現可能性に関する判断指針
・販売用不動産等の強制評価減に適用する時価評価の方法の選択と継続性
販売用不動産等の時価評価は個別物件ごとに実施することとし、適用する時価は、評価時点における販売用不動産等を取り巻く諸条件の下で、販売公表価格、鑑定評価額、公示価格、路線価による相続税評価額等の時価の中から、会社が最も適切と判断する時価を選択できるものとする。時価評価の方法は、毎期継続して適用する必要がある。
・強制評価減を実施しなかった販売用不動産等の開示
回復可能性が見込まれるため強制評価減をせず取得価額を付した場合には、その旨(金額を含む)を注記する。
・販売用不動産等の保有目的変更への対応
販売用不動産等の保有目的の変更については、変更理由に経済的合理性があることが必要であり、従って、例えば、別荘としての開発計画の実現可能性がなくなった山林等を実質的には利用が見込まれない会社の保養地にするなどの「固定資産への振替」は時価までの評価減を実施している場合を除き、認められない。なお、保有目的の変更が財務諸表に重要な影響を与える場合には、追加情報としての注記が必要となる。
・経営者への確認
監査人が必要と認めた場合には、開発計画の実現可能性や時価の回復可能性等について記載を求める。
監査委員会報告第69号
管轄:日本公認会計士協会監査・保証実務委員会
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