平成24年01月20日
改正法人税法及び復興財源確保法に伴う税率変更等に係る四半期財務諸表における税金費用の実務上の取扱い
平成23年12月2日に、「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律」(改正法人税法)及び「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」(復興財源確保法)が公布された。3月決算会社等においては、四半期会計期間中に税率の変更等が行われることとなり、その取扱いは四半期適用指針などで示されてはいるが、今般の改正法人税法等に伴う四半期財務諸表における税金費用の取扱いについて、開示の迅速性を踏まえた実務上の対応方法に関する質問が寄せられているため、質問の多い点を中心に必要と考えられる実務上の取扱いを明らかにすることとした。
<目的等>
・改正法人税法により平成24年4月1日以後に開始する事業年度の法人税率が30.0%から25.5%に引き下げられるが、平成24年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する事業年度においては、基準法人税額に10%の税率を乗じて復興特別法人税額が計算される。したがって、法定実効税率は段階的に引き下げられる。
・平成20年4月1日以後終了した事業年度において生じた欠損金の繰越期間が7年から9年に延長され、平成24年4月1日以後開始事業年度の欠損金の繰越控除限度額が控除前の所得の金額の80%に制限される。
<原則>
1.年度決算と同様の方法で税金費用を計算している場合
繰延税金資産・負債は、支払または回収が行われると見込まれる期に対応した改正後の税率により計算する。
スケジューリング不能な一時差異については、一律に復興特別法人税額を含まない税率で繰延税金資産・負債を計算する。税務上の繰越欠損金にかかわる繰延税金資産の金額に改正法人税法等が影響を及ぼす可能性があるため留意する。(Q1)
2.四半期特有の会計処理により税金費用を計算している場合
税率変更後の見積実効税率の算定にあたり、実務上の対応として、当年度の期首の一時差異等については、経営環境に著しい変化が生じていないなど一定の状況にある場合には、前年度末の繰延税金資産の回収可能性の検討において使用した将来の業績予想などを使用することができる。一定の状況にない場合には、経営環境の著しい変化または一時差異等の大幅な変動による影響を加味したものを使用することができる。税率変更後の見積実効税率の算定において、一時差異等の見積りは、財務諸表利用者の判断を誤らせない限り、重要な項目に限定する方法によることができる。税務上の繰越欠損金についても、重要な影響が見込まれる場合には、見積実効税率の算定上考慮する。(Q2)
<例外>適時に一時差異等のスケジューリングを行うことが実務上困難な場合(Q3)
合理的で実態にも則していると考えられている方法により算出した単一の税率により税金費用を計算することも認められる。
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